
サンニンは、2024年4月、新たな人事制度を打ち出しました。
等級に応じた役割・責任を明確化するとともに、年初に設定した目標・行動対する成果をもとに評価をし、賞与が決定する体制に移行しました。
人事制度は、会社がビジョン・理念を本気で実現するために、従業員に何を期待しているかを示す最も明確なメッセージであり、何をもってどういう評価をするか、は従業員の努力の方向性を決め、最終的には、その会社の風土を創り出す、という大きな影響力を持ちます。
創業20周年を迎え、新たな人事制度を打ち出した背景について、東社長の思いを聴きました。
従業員が成長の軌跡を実感する為、更なる成長に向け具体的な目標を示す為。
すなわち人間成長のために人事制度が必要だと思いました。
新人事制度を打ち出した理由とは?

新たな人事制度を打ち出された背景を教えてください。
東 正展(以下、東):理由は主に2つあります。
1つ目の理由は、ビジョンに掲げている通り、サンニンが『社会が求める価値ある空間を提供することで、社会からも信頼され、社会に貢献する企業であり続ける』ようにするためです。これは言葉でいうのは簡単ですが、本気でそれを実現するとなると、一つ一つの案件に対し、私たちが常に意義あるデザインと空間を創造すべく、お客様に真摯に向き合い、ニーズを深くくみ取り、お客様の期待を超えるために何ができるか考え抜き、挑戦する。それを実際にやり遂げることで、お客さまから「サンニンに頼んで良かった!」と喜んでいただけると、社員のやりがいや幸せにもつながります。そういう状況を組織として実現するには、個人のスキル任せでは当然限界があります。
おかげさまでサンニンもビジネスの規模が拡大し、より多くのお客様からより大きな期待をかけていただけるようになってきています。その期待にしっかり応えて信頼を積み上げていくには、私たち自身、スキルアップも含め、成長スピードを今以上に高めていく必要があります。規模がまだ小さかった時は個々の踏ん張りに頼らざるをえなかったり、勢いで乗り越えてきた部分も正直多かったのですが、改めて今後を見据えて一人一人が自分が果たすべき役割・責任をしっかり理解し、自分と会社の発展のために何をすればよいのかを主体的に考えて行動できる会社にしたい。そのためにも、組織の背骨として新たな人事制度がカギになると考えました。

2つ目の理由は、サンニンのスタッフは20代~30代前半の若手が中心層になるのですが、彼ら・彼女らに自信をもってもらい、社会で活躍する人になってもらいたいためです。そのためには「成功経験を積み上げること」、「それを数えること」、「インプットを増やし技術・スキル・知識を増やすこと」が必要です。モラル・道理の上にこれらを積み上げることができれば大きく成長し、社会で活躍できる人になれると私は考えています。そこで、自分自身の成長の軌跡を確認できるように、また成長を目指すための目標を示すために人事制度を設けました。
たとえば等級制度によって、ワンランク上の等級に上がるために、自分には何が足りていて、何が足りていないのか、だったらどういうスキルを強化しなければならないかを自分で掴めるようにする、あるいは、責任範囲が広くなる人には役職手当を、技術・能力が備わった人には資格手当を明確にしました。
何で評価をされるのかよくわからない、ではなく、キャリアビジョンをもってトライし、期待される成果を出せば、きちんと評価される、という安心感をもって仕事に打ち込める環境を創るには透明性のある人事制度が必要だと考えました。
サンニンの新人事制度のこだわりとは?
新人事制度で、社長として「ここにこだわった!」という点があれば教えてください。
東:あえて3つに絞ると、1つ目は仕事のスタイルです。私たちのデザイン・設計の仕事は、規模が大きくなると一人では対応できません。チームワーキングが前提です。
その際、よくあるのは「この案件はデザイン1部が担当する」など、部署ごとに案件を割り振り、そこに所属するメンバーが取り組む、というスタイルですが、サンニンでは、1つの案件に対し部署を超えて必要なスキルを持ったメンバーがプロジェクトを組み、完成させます。つまり、個々のメンバーがいろいろな規模、種類の案件、役割・業務に携わることができる機会が沢山あり、自らスキルの幅を広げることで、よりそのチャンスが広がっていく、というスタイルです。
なぜそうしているかというと、実際のスキルは様々な経験を積んでこそ修得できるからです。
“前回のプロジェクトではプロジェクトリーダーをやったけど、今回は別の案件に設計で参加する”、など多様な経験が積めることで、視野が広がりますし、チーム全体を見渡せるようになります。それによって、他のメンバーに対する理解も深まり、結果的にチームワーキングもスムーズにいくようになります。且つ、プロジェクトのどの部分を担当したかによって明確な貢献度合いも見える化されるため、自分が全体目標達成に貢献できている実感も持つことができます。もちろんいきなり新しい業務はできないため、未知の部分については先輩についてOJTで教わることができます。
究極は、誰もがマルチでいろいろなスキルを磨くことで、柔軟にプロジェクト対応ができ、お客様のニーズに迅速かつ的確に対応できるプロフェッショナル集団になっていくといいなと思います。
まだまだ試行錯誤の部分はありますが、貪欲にいろいろ吸収して自己のスキルアップ、キャリアアップを図りたい、という人にとっては密度の濃い成長環境があると言えます。
ワイド&グロース制
一人ひとりの適性に合わせた成長環境を
サンニンは整備しています

チームワーキング
多様なメンバーと共にプロジェクトを進めることで
気づきの機会を作ります

OJT制度
第一歩目のキャリアを
OJT担当がサポートします

東:2つ目として、社員の給与水準についてもこだわりました。役所が公開しているデータと民間企業が公開しているデータを調査し、業界平均の基準を上回るように設定しています。社員には自分の収入について、世間に散見する漠然とした情報に惑わされることなく自分の仕事と自身の成長に集中してもらいたいと思います。
客観的なデータをもとにきちんと調査をしたうえで、給与水準を設定されたのであれば、安心感がありますね。
東:そう思ってもらえると嬉しいです。いい人材に集まってもらい、クオリティの高い仕事をし、それに見合った報酬をいただくというサイクルが回るようにと思って設定しています。

東:3つ目のこだわりは、行動面の評価も重視している点です。私としては仕事をするうえで「人柄」は非常に重要であると考えています。いくら技術・スキルがあっても他者に対する配慮が足りずモラル・道理が欠落していると、その人自身や社会にとって良い状態とは言えません。
先ほども申し上げた通り、会社の存在意義は社会に貢献することです。ところが周りを顧みず自分本位の行動やモラル・道理に反した行動を許す会社であれば社会にも従業員にも、家族にも誇れる状態ではありません。モラル・道理の上に技術・スキルが備わることが本当の意味で周りに「誇れる」会社となれる、と考えています。
ですので評価も、成果だけではなく、成果を出すプロセスにおける行動も重視しています。
たとえば「事実を正直に報告しているか」「雑務や売上につながらない仕事でも前向きに取り組むことができるか」「サンニンの従業員であることを意識し、社会人として適切な言動を行っているか」など、日々の行動の積み重ねで、周りからの信頼を得られ、成果につながると考えています。
定期的に自分の言動を振り返ってより良くできることを見つけることで、人間的成長が図れます。
どうせ働くなら、誰でも誠実で約束を守る人達とチームを組んで働く方が、安心感もあるし働きやすさも感じられると思っています。
個々目標をもって取り組む体制とのことですが、目標は会社から与えられるのですか?それとも自分で設定するのですか?
東:会社として皆で達成したい全体目標が明確にありますから、そのためには一人一人が何をどのレベルまで貢献する必要があるか、という規準は明示します。ただそれを義務としてやらされ意識でやるのでは創造的な仕事にはなりません。
私としては、意義を感じてもらえるよう、全体目標を達成することで一人一人にどういうメリットが生まれるかをきちんと伝えていきたいと思っています。
もちろん、それを踏まえて、各人、現状の強み・課題と、キャリアビジョン実現のためにもどういうスキルを伸ばしたいか、どういう領域にチャレンジしてみたいか、などを上司との面談を通して共有し、それに対するフィードバックやアドバイスをもらったり、相談したりできる体制も併せてスタートしています。ですから、機械的に割り当てをこなせばよい、ということではなく、成長ステップを一緒に考えながら、目標を設定し、その進捗を確認しあっていく制度になっています。


ともすると専門スキルはあるけれど、数字管理は苦手、というパターンもありますが、サンニンでは数字管理のスキルも評価項目に入っていますね。その意図は?
東:はい。私が考えるお客様にとっての最良のデザインは、お客様の理想×予算・納期等の条件で規定されます。ですからいい設計ができる、デザインが描ける、というだけではプロとは言えません。限られた納期、予算で、いかに最高の価値を生み出せるかを考えるにあたっては、原価・コスト管理のスキルも磨く必要があります。適正な仕入れ価格になっているか、無駄なコストは発生していないか、をチェックし、もし発生していれば交渉力も必要ですし、改善策を講じる力も必要です。常に適正利益を確保してこそ、お客様にもっといいサービスや社会貢献ができることを前提に数字管理できるスタッフに育ってもらいたいと思っています。もちろんそのために必要な学習機会もあります。
チャレンジに加点。失敗しても学びを得ることを重視
最後に、サンニンに興味を持っていただけている方、面接を受けようとされている方にサンニンの人事制度に関して伝えたいことをどうぞ。

東:サンニンが求めるのは「初めての事柄や高い目標に対してもトライ&エラーで挑戦し続ける人材」です。ですから新人事制度でも、失敗から学びを得て成長したかどうかが重要で、チャレンジ自体を加点評価とし、失敗しても原則として減点しない制度になっています。
「トライ&エラー」を重視するのは理由があります。頭で「よし、いける!」と考えたことでも、実際にやってみると、想定通り上手くいくときもあれば、思ったようにいかず失敗するときもあります。その際、うまくいかなかったことであきらめたり、落ち込んで終わるのではなく、「なぜうまくいかなかったのか?」をあれこれ考え、失敗した箇所を取り除き、別のやり方を繰り返すことで正解に近づくし、そのプロセスで思いもよらない新しいアイデアに出会う事もあります。
実際私もそういう経験を通して、新たな可能性にたくさん気づかされました。ですから、今では「トライ&エラー」は私自身の口癖になっています。
サンニンもまだまだ成長途上です。
現状の延長線上で考えて「この程度やれればOKかな」というところに目標を設定して無難にそれをクリアしていくやり方もあると思いますが、私たちはその道は選びません。あえて大きなビジョンを描くことでそれぞれが持っている可能性を拓き、お客様、社会に対してさらに大きなお役立ちをしたいと思っています。そのためには、新しいことにチャレンジする姿勢は必要不可欠です。
これから入っていただける方にもどんどんチャレンジし、失敗から学びを得て成功体験につなげ、自信をもって自分のキャリアを切り拓いていってもらえればこんなに嬉しいことはありません。
是非サンニンで一緒に成長していきましょう!
制度一つとっても、その背景には会社の将来、従業員の将来を見据え、いろいろな想いが込められていることが伝わってきました。制度は作って終わりではなく、運用しながらスタッフからのフィードバックも参考に手なおしをし、さらに現場にフィットする形で進化させることで、サンニンらしさにさらに磨きがかかると思います。新しく入社された方々がどんどんスキルアップして、活躍されることで、制度がうまく機能している証明になるといいですね!